日本公認会計士協会 準会員会

活動報告(東京)

【活動報告】労働法セミナー開催

2019年1月26日(土)準会員会主催で労働法セミナーを実施しました。労働法は労働の場面で適用される法律の総称で、使用者(雇用主や上司)、労働者、国の三者の関係について、様々な法律で規定しています。本セミナーでは、このうち、労働基準法など使用者と労働者の関係を制限する規定を主に説明しました。また、雇用保険など労働者が国から
受けられる援助制度についても触れました。準会員会幹事の吉津が講師を務め、5名の参加者に対して、2時間のセミナーを行いました。

労働法は幅広い分野なので、広い分野からピックアップし説明する方法でセミナーを行いました。また、知識を現実で活用できるように、労働規制のケーススタディを混ぜる、援助制度の適用条件や申請期限を押さえる等、条文と現実の紐づけを意識しました。その結果、概要から現実への応用までを射程に捉えることができ、この点が良かったとの感想をいただきました。

また、「大本の雇用契約の考え方が目から鱗だった」という感想もありました。雇用契約では、瑕疵担保責任のある請負契約と異なり、成果物に対する責任を負いません。雇用される者の債務は労働に従事する、つまり一定時間使用者の業務命令に服することであって、労働の成果は債務に含まれません。労働の成果に係るリスクは使用者が負うわけです。
契約である以上信義則上の義務は発生するわけですが、「成果物に対する責任は使用者側にある」という考え方は、抱え込みすぎがちな人が心の余裕を得るのに有効だと思います。

最後に、セミナーを実施した感想ですが、「説明することで理解が深まる」という経験則を実感しました。数多くの制度から公認会計士に重要そうなものを選別する、条文の内容を趣旨や現実のシチュエーションに結びつける、原理から応用に流れていくように構成を練る等、説明するための準備に頭を悩ませている中で、理論から現実まで見通しがつくようになったと感じました。初めの方は何をどうすればよいか分からず大変でしたが、終わってみればとても良い経験になったと思います。

(TOKYO CPA NEWS No.746 2019.5 準会員通信)

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