会計・財務専門キャリアコンサルタント 坂本 信弘さん
講演者の会社・ご自身の紹介
私は財務会計系の人材ビジネスに特化しており、主にWEB上での求人サイト、人材紹介を行っている会社で勤務しています。そして、4年ぐらい前から公認会計士に特化して、監査法人等を訪問して人材紹介のカウンセラーもしております。
また、20代の頃はリクルートにいて、その後数人で独立開業して後に人材派遣会社に進み、現在人材ビジネスを20年ぐらいやっております。
会計士業界および監査法人の現況について具体的には、ここ近年三年の会計士の合格者数は、平成18年約3,100人、平成19年約4,000人、平成20年約3,600人でした。また、ビッグ4で採用した人数については、平成19年度は新日本監査法人が約1,000人、トーマツが880人、あずさが600人、あらたが250人の合計約2,730人でした。さらに、大雑把な把握ですが、去年の就職状況ですが、大手で2,000名、中小でマックス500名、就職できなかった方が500人程おります。 もっと大きな括りで話しますと、現在日本全体で会計士(会計士と準会員合わせて)は28,000人いまして、このうち四分の一が近年ここ三年の合格者であります。 ちなみに、今から38年前に合格した現在70歳台の公認会計士の方の話によりますと、合格者数は200名だったそうです。さらに、試験制度の改革により今後、受験者の分母はますます増えていくだろうということです。海外に目を向けるとどうなのかという話になりまして、アメリカでは会計士が33万人おり、監査法人以外に勤めている方はそのうち60%います。
会計士の待遇についてですが、平成18年の初任給は約30万円、一昨年去年は約35万円だったそうです。しかし、あずさ監査法人出身の理事長いわく30年前は一般企業と同じ位の初任給でした。給与が上がり始めたのはここ最近のことです。 ちなみに、新日本監査法人について言えば、去年は15億円の黒字であったのに、今年は13億円の赤字です。対前年比で売上は6%増えているが、クライアント企業の破綻や人件費高騰の影響でこのようになっているのです。
続いて実際の今の転職市場に係る話ですが、一言で言うと、2008年11月頃から激変しております。やはり、リーマンショックが日本に与えた影響は大きいです。 その影響は受験後の就職ガイダンスにも現れてきています。具体的には、監査法人説明会に一般の会社も参加するようになり、監査法人以外のところをもっと考えて欲しいと日本公認会計士協会自身がHP上で謳っている状況であります。これは、日本公認会計士協会的に、就職浪人を出したくないからこのようにアナウンスをするようになっているとも考えられます。 昔の会計士合格者の就職パターンとして多いのは、合格後まず監査法人に行き何年かして独立するかパートナーになるというものでした。現在60歳位の会計士の人は、入ったばかりの頃はかばん持ちや丁稚をしていた人もいたそうです。独立するパターンとしては税理士業務が多かったそうです。長年会計士をされている先生の中には、「公認会計士は自由業だったよ」とか、「会計士はサービス業だったよ」、「いやいや、アントレプレナーだったよ」とおっしゃる先生もおられます。 一昨年や去年だと、監査法人に人を紹介した場合、面接1回受けると内定で、いつから出社できますかと聞かれるような状況でした。非常勤勤務採用もウェルカムだった。さらに外資系の金融企業に至っては英語ができてCPA持っていればどんどん採用しているような状況だったのです。しかし現在は状況が一遍し、厳しい状況となっております。
そこで、皆さんが今後どうしたらいいのかという方針について話をしていきたいと思います。 求められるスキルを考える前に念頭において置かなければならないのは、企業は変化し続けなければ生きることができないということです。例えば、ソフトバンクについて言えば、昔はパソコンの商社だと自社のことを謳っており、パソコンの本を出版してパソコンの便利さを世の中に知らせていた。しかし今は巡り巡って通信業者になっています。 このようにソフトバンク1つとってみてもいろんなビジネスをやっているということです。昔は1つのビジネス30年って言われていたが、今は1つのビジネス3年だと言われる時代になってきています。そんな世の中では、大きく分けてテクニカルスキルとヒューマンスキルの二つが必要であると私は考えます。 テクニカルスキルの1つはコミュニケーション能力です。欲を言うと、英語ができるとよいでしょう。さらに、IFRSの原文を読めるようになることです。また営業が上手であることも大事でしょう。 具体的にいうと、些細なことですが、目を見て相手と話ができる、相手の話を聞ける、こういうことが意外と大事なのです。営業は相手の話を聞くことが大事だからです。
最後に会計士の強みについて話をします。 会計士の強みの一つ目は、監査という仕事は絶対なくならないということです。ただ、IFRSが導入されると、会計士はどこであってもよいということにもなり、考え方によると世界中ライバルということも想定されます。強みの二つ目は公認会計士が営業すると強いということです。何も肩書きがない方がコンサルティングすると言うよりも、公認会計士の○○ですと言ってコンサルティングするほうが受けがいいということです。 最後に、日本の人口1億3,000万の内3万人しか会計士がいないということです。つまり希少性があり、これは職業としては非常に付加価値の高いものであるということです。
以上、簡単ではありましたが講演を終了します。ご拝聴ありがとうございました。
( 講演内容から抜粋・要約 )
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