日本公認会計士協会 準会員会

活動報告(東京)

「会計士業界の変化と、これからの会計士に求められるもの」木村忠昭さん 株式会社アドライト(原価計算サービス・経営者)

講演者略歴介
木村忠昭さん
東京大学大学院経済学研究科にて経営学(管理会計)を専攻し、修士号を取得。その後、大手監査法人にて、株式公開支援業務・法定監査業務を担当。2008年、株式会社アドライトを創業。管理・会計・財務面での企業研修プログラムの提供をはじめとする経営コンサルティングなどを展開している。工事進行基準をはじめとする国際会計基準(IFRS)に関する各テーマについては、セミナー講演や支援事例を通じて、のべ1000社以上の企業に対して実務対応について伝えてきた実績をもつ。主な執筆連載に「まだ間に合う『工事進行基準』対策」(ZDNet
Japan 2009年1月~2009年5月連載)、「工事進行基準の第一人者に聞く」(ソフトバンクビジネス+IT 2009年6月~2009年7月連載)などがある。

職業紹介:法人以外の職業に就いている会計士の方々が、どのような仕事をしているか。また会計士としての知識が、どのような形で役に立っているのか。大学在学中に旧二次試験に合格しましたが、在学中はあまり講義に出席できなかったので、大学院に1年間通いました。卒業後、監査法人に入り、IPO支援業務や法定監査業務を中心に勤務しました。その後、現在の事務所を起業しました。
私は高校生の頃からいつか起業したいと思っており、監査法人時代に自分のベースとなる経験を積むことができたと思っています。

監査法人でできること:(正会員でない)準会員が1年ないし2年は法人にとどまると考えている前提で、転職を見据えて監査法人で何をすべきか。最終的に自分がどうなりたいのか、というビジョンから、今、自分が何をすべきかを落とし込んでいくべきですね。自分の場合は外部のセミナーに参加したり、勉強会を主催したりと、世の中を客観的に把握しようと努めていました。また監査法人が世の中においてどのような存在であるかを客観的に捉えようと思っていました。世の中における自分の立ち位置を把握する感じですね。その中で会計士や監査法人の特徴が見えてきました。

これからの会計士に求められるもの:会計士が大幅に増加している中、他の会計士と差別化する上で考えなければならないこと、求められる能力等。一人ひとり、進むべき道が違うと思います。将来、海外で働きたいと思っている人にとっては英語は非常に重要でしょう。私自身は、起業に際しては都度、失敗をしてそれを修正するやり方で前に進んできました。やらないと経験できないという能力もあります。一番大切であると思ったのは、顧客のニーズを把握しようとする意識・能力ですね。監査法人においては形式的な仕事の進め方になりがちですが、将来、外部で働こうと思うのであれば、顧客のニーズを意識的に捉える能力は非常に重要になると思います。

独立してよかったと思うこと起業後は、営業活動もしますし、受注してからもいかに対価に見合った付加価値を継続的に提供できるかということを考えるようになりました。この姿勢は自分が将来、目指す方向に向かっているという感覚があるので、独立してよかったと思っています。

以下、質疑応答

会計士出身で独立した友人に対して、なにかアドバイスを頂戴できますでしょうか。必要なのは、自分が自身をもって提供できると思ったサービスであっても、それを相手が必要と判断してくれ、自分を信頼してくれるかどうかに関して、きちんとケアできるかという点です。やはり相手が事業を営んでいて、その中で自分がどのようにサービスが提供でき、対価を得られるか、という話ですので、一方的な提案では難しいかもしれません。どういったお客さんにどのようなサービスを提供し、そのために必要なスキルは何か、といった視点が大事ですね。

第三者的に監査法人をどう見ていますか。懐が深いというか、会計士業界全体の連帯感が強いですね。またビジネスモデルは成熟していると思います。法律で守られている監査意見表明という業務の元、自分たちの法人で人材を育成することができる点が素晴らしいですね。

準会員に対するメッセージ€人それぞれアプローチがあります。何が自分にとって喜びか、自分のキャリアプランをどうしたいのか。やってみて気づくことも多いので、環境が整っているのであれば、いますぐにでもスタートしてみるのもいいと思います。

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