法人税申告実務~法人税確定申告書ができるまで~
法人税申告実務
~法人税確定申告書ができるまで~
1.はじめに
平成23年7月30日、日本公認会計士協会準会員会近畿分会では、『法人税申告実務~法人税確定申告書ができるまで~』と題し、勉強会を開催しました。
講師には、大手監査法人を退職後、税理士法人にて勤務され、現在は徳島県にてご自身の会計事務所を立ち上げておられる、公認会計士の林健太郎氏をお招きし、最近の相談事例も交えながら、講義をしていただきました。
当日は準会員、正会員合わせて約100名の方々にご出席いただき、非常に盛況な勉強会となりました。
2.勉強会内容
Ⅰ 事務所関与の実態
規模による関与の違い
Ⅱ 代表的な加算・減算項目
加算減算項目の把握や具体例、判例の活用など
Ⅲ ケーススタディ
Ⅳ セルフチェックの方法
Ⅴ 最近の検討事例より
〈具体的内容〉
Ⅰ 事務所関与の実態としては、クライアントの規模による関与度合いの違いがあり、個人事業主・非上場会社・上場会社によって会計事務所が提供する業務が異なってくること、また実務においてよく質問を受ける印紙税・固定資産税・償却資産税について実務上のポイントを説明していただきました。
Ⅱ 代表的な加算・減算項目では、加算・減算の原因となる勘定科目において申告調整に漏れがないかチェックすること、また、使用人賞与の損金算入時期や役員賞与引当金といった具体的勘定項目を例に申告調整について説明していただきました。特に、最近の判例として紹介されていた、株主優待に対するテーマパークの無償入場券の交際費の認定については参加者も勉強になったことと思います。
Ⅲ・Ⅳ ケーススタディとして、林先生が作成された会社例をもとに30分ほど時間をとって個々人が申告書を作成しました。会計ソフトを使わず、実際手書きで作成することで、申告書作成プロセスが理解できたと思います。また、別表間に不整合が生じていないことを自分でチェックする方法を教えていただきました。
Ⅴ 最近の検討事例として、合併等で資本金等を減額した結果、均等割の納付額を減少させることができるという事例を紹介していただき、税額削減の一手法を学ぶことができ勉強になりました。
3.参加者の声
勉強会後に実施したアンケートにお寄せいただいた感想の声より、一部を抜粋し紹介致します。
- 税務の世界に興味がありながらも、普段どのような事をしているのかを知る機会が少なかったので、今回の勉強会は非常に貴重な経験となりました。
- 将来は独立することを考えているので、役に立つ講義だと思いました。
- 会計士と税理士の考え方の違いや個人事業の実態等を教えていただき、良かったです。
- 調整項目について具体的な話を聞くことができ、非常に興味深く聞くことができた。
また、今後のテーマとして合格者の過半数超が監査法人に所属していない実態に配慮し、監査実務より税法・会計・ITに力を入れて欲しいという希望をいただきました。我々準会員会幹事も準会員の皆様の置かれている現状を考え、活動して行かなければならないと改めて強く感じました。他にもテーマに関して、様々なご意見をいただきありがとうございました。今後の勉強会開催の参考にさせていただきます。
4.最後に
土曜日にもかかわらず準会員を中心に100名近くご出席いただいた点に、税務申告実務に対する関心の高さを感じました。林先生のお言葉にもありましたが、税“法”である以上、法令・判例・通達が重要であること、税金関連の加算・減算の整合性を自分自身でしっかり説明できることが重要であることを感じました。
今回のイベントが参加者にとって従事する監査実務・会計実務について考える一助となれば幸いです。
最後になりましたが、ご参加下さった皆様、ご協力頂いた皆様に厚く御礼申し上げます。
5.次回勉強会のご案内
今回の勉強会は税務申告一般勉強会の第2弾として開催いたしました。第3弾は平成24年3月17日に税制改正をテーマに開催する予定です。