磯崎 哲也氏
1984年 早稲田大学政治経済学部卒業後、 株式会社長銀経営研究所へ入社。 |
複雑化する社会の中で、会計士の力が役立つ場面は増えていくと思います。 |
-大学卒業後、長銀経営研究所へ入社、そして働きながら会計士取得という経歴をお持ちですが、明確なキャリアプランがあったのでしょうか。 当時は特に明確なキャリアプランを描いていたわけではありませんでした。シンクタンクが面白そうだとは感じていましたが、設立間もない長銀総研に入社したのは、良いタイミングだったと思います。 -働きながら合格するのは、大変ではなかったですか。 周りは会計士の勉強だけをしてる人たちでしたから、模試の成績も決して良い方ではありませんでしたが、何とか1年数ヶ月の勉強で合格しました。受験者の大半である大学生や卒業したばかりの学生と異なり、帳簿や伝票、取締役や監査役といった、勉強に出て来る「実物」に仕事で接してイメージが湧いたのは、働きながら受験するメリットだと思いました。 -会計士試験で得た会計の知識が、業務に役立つことはありましたか。 長銀が昔から長期的なプロジェクトの審査・貸付を得意としていた経緯もあり、長銀経営研究所は、プロジェクトの成否の可能性を分析するフィージビリティ・スタディを得意分野の一つとしていました。何年にもわたるプロジェクトのシミュレーションというのは、具体的には投資計画や将来需要を、予測P/L・B/Sに落とし込む作業なのですが、そこでは会計士試験で得た知識や、数値で物事を捉える思考が、非常に役に立ったと思います。 -公認会計士試験に合格した人が監査法人で働くことと事業会社で働くことの違いについて、どのようにお考えでしょうか。 監査法人でも、部署や業務によって求められる能力は異なると思いますが、事業会社でも部門によって、営業や生産、購買といった具体的な現場の業務もあれば、戦略的にビジネスを考える部門もあります。私が働いていたコンサルティングファームのような業種では、戦略的にビジネスを考える能力が要求されましたので、会計や税務、経済学、法律といった領域を統合的に考える会計士試験の知識を生かしやすい環境にあったと思います。 -試験合格者が監査法人ではなく事業会社に就職することについて、どのようにお考えでしょうか。 試験に合格しただけで事業会社でいきなり会計士としての価値を生み出すのは難しいと思いますので、例えば、監査法人で数年間経験を積み、試験で学んだ知識と実務経験が融合して価値が出せるようになってから事業会社で活かすというキャリアパスの方がいいのかも知れません。しかし、最近は監査法人で雇用できない人の数がかなり増えて来てるんですよね? -最後に、会計士試験について、どのようにお考えでしょうか。 会計士試験はビジネスで活躍する能力を身につける良い試験だと思います。 -貴重なお話ありがとうございました。 (文責:加藤広晃) |