日本公認会計士協会 準会員会

インタビュー
( 会計業界 )

田中 景子氏

 

 

大学在学中、公認会計士2次試験に合格。
三菱電機株式会社へ入社、現在に至る。

新卒のチャンスを活かして、企業に入ってみてはいかがでしょうか。

-なぜ会計士試験を受けようと思われたのでしょうか。

  私が大学生だった頃は、女性の総合職が制度化されてから10年程しか経っておらず、企業で女性が働き続けるのは珍しい時代でした。資格があった方が働きやすいのではないかと考え、受験を考えました。

-合格後、監査法人ではなく企業に就職される方は少ないと思うのですが、なぜ「企業で働く」という選択をされたのでしょうか。

 大学3年生の10月に公認会計士2次試験に合格しました。今回お話しさせていただくことは、大学在学中に試験に合格された方へ向けての話が中心になるかと思います。
企業での新卒採用ですと3月に卒業後、翌月から働けるのに対し、監査法人は10月からしか働くことができず、監査法人への就職も狭き門でしたので、まずは企業に就職を考えました。
 また、同じ境遇であった先輩に相談し、「企業に入ってみなさい」と言われたのも大きかったです。大手民間企業に入社するのは新卒のワンチャンスしかなく、たとえ1年で辞めたとしても得るものはあるとアドバイスをもらいました。監査法人で監査人として働くと、20代になったばかりで先生といわれ、知らないうちに天狗になってしまう怖さがある、社会人1年生として年齢相応の下積みをした方がよいと。
 実際に現在の会社に入社して、一から社会人としてのマナーや常識を教えてもらいました。様々なことを学ばせてもらった今の会社には、本当に感謝しています。

-現在どのようなお仕事をされているのでしょうか。

 有価証券報告書、決算短信、株主総会資料等の法定書類を作成する仕事をしています。項目毎に各担当が作成しますので、それを取りまとめて、全体を通して読んでおかしくないかを判断します。また、決算業務以外にも、何か新しいことが発生した場合に経理処理をどうするか、新基準が適用される時に会社としてどのように対応するか等を、関係部門と相談しながら決めていくこと等もしています。

-会計士試験で得た資格・知識が現在のお仕事に役立ったことは何でしょうか。

 試験で得た知識が直接業務に役立つということは残念ながら少ないですが、勉強したことと業務がリンクすると感じることは多々あります。知識は本を読めば得られますが、業務とつながらないと役に立ちません。会社で起こる様々な事象が、どのように数値として会計情報に反映されるか、つながりを知ることが大切だと思います。

-監査法人で働くことと、事業会社で働くこととでは大きく差があると思いますが、事業会社で働くことについてどのようにお考えでしょうか。

 私は2つの理由から、現在勤めている会社でずっと働きたいと考えています。

  1つは、業務の主体は会社であり、決定権は会社にありますので、会社側に立って仕事をする方が主体的で面白いと思うからです。
 もう1つは、職場環境です。職場の人間関係が良く、尊敬できる人が多くいます。また、会計以外の幅広い業務と関われることも魅力です。会計情報として目にする数字の後ろにある様々な事象に、時には驚かされ、あるいは感動し、興味が尽きません。

-最後に、受験生・準会員にアドバイスをお願いします。

 在学合格の方は、新卒のチャンスで企業に入ってみてはいかがでしょうか。できるだけ、歴史があり規模の大きな企業をお勧めします。私が企業で働いて感じた事は、歴史のある会社には組織として厚みがあり、様々な仕組みが良く考えられているということです。さらに、社会人としての基本を職場で身につけさせてくれます。新卒にしかないワンチャンスを活かすよう、ぜひ企業への就職を挑戦してみてください。

-本日は貴重な経験をお聞かせいただき、ありがとうございました。

(文責:三輪 温子)

一覧へ