髙橋康之氏
「文章術を業務に活かす」
研修会開催に先立ち、各方面で活躍されている3名の先輩会計士の方々に「文章を書く際に気をつけておられること」をテーマにインタビューを行いました。第1弾は高橋康之先生(2011年12月実施)。監査法人勤務の高橋先生からは、業務への文章術の活かし方、またその前提となる情報収集方法、さらには目指すべき会計士像についてお話いただきました。
高橋先生の熱いメッセージをご覧いただくとともに、ぜひ研修会に足をお運びいただき、実際に「会計士のための文章術」に触れてみてください。皆様のご参加をお待ちしています!
3月10日 (土) 東京実務補習所 単位認定研修会
「会計士のための文章術 ~補習所課題から海外留学エッセイまで~」
開催直前! スペシャルインタビュー 第1弾
東京実務補習所副委員長 高橋康之先生
「“できる会計士”になってほしい 」
課題研究の目的:
補習所の課題研究は、自ら調べ、考える力を向上させるだけでなく、それを人に伝達する能力を向上させるために実施されています。
公認会計士が監査を行う場合、クライアントとコミュニケーションを取ったり、監査調書を作成したりしますが、その中で自らの意図や内容を正確に伝えることが当然に求められます。事業会社の経理部門で働く人やコンサルタントも同様です。どのような文章を作成する場合であっても、専門家として、意図や内容を正確に伝えることが求められます。
どうすれば正確に伝わるのかを常に意識して仕事に取り組むことが、仕事の質の向上、さらには会計士としての自らの価値の向上につながります。
情報との接し方を意識する
課題研究では、その作成過程で多くの参考文献などに触れる機会がありますので、情報との接し方を身につけることができると思います。
ここで重要なことは、まず、入手した情報を鵜呑みにしないということです。情報が活字になっていると、それを信じてしまうことが多いですが、どの情報源を基に書かれているのか、本当に正しいことが書かれているのかなど、少し考えてみることが重要です。
次に、情報は多角的に入手するということです。情報は、発信する側の立場やボリュームによって、その内容も大きく違ってきます。特に、海外メディアからの情報は日本のメディアとまったく異なる視点で書かれていることが多くあります。いろいろな媒体から情報を入手し、比べてみて、そこから自分はどう考えるかをまとめることが重要です。
“できる会計士”とは:
日頃から多くの情報に触れ、その情報を活用して自ら考えることにより、どんな場面にも対処できる人こそが “できる会計士”だと思います。
多くの情報に触れるには、新聞や雑誌の見出しだけでも構わないので、日頃から情報を取り入れる習慣をつけてください。
日本経済新聞、週刊経営財務、日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済などの他に、『会計・監査ジャーナル』に掲載される座談会記事を読むことはお薦めです。座談会記事は、会計基準がどういった経緯で制定されたのか、制定に至るまでの懸念事項はどのようなものだったのか、反対意見はあったのかなど、制定の背景を知ることができます。
これらを端緒にして、会計的に重要な論点や仕事で深く関わっている論点は掘り下げて調べてみるといった姿勢を持つことが、専門家としてあるべき姿です。こういったことを続けていると、自然とクライアントからも“できる会計士”と思われ、信頼関係構築につながります。
自分の考えを持つことができれば、仕事の質は格段に上がります。たとえ前回と同じ仕事であっても、何も考えず前回と同じように行うのとは違って、主体的に行えるからです。
準会員のみなさんには、課題研究作成などの文章作成を通じ、様々な媒体から情報を入手して、自ら考えることのできる会計士を目指してほしいと思います。
≪髙橋康之先生 プロフィール≫
太陽ASG有限責任監査法人 シニアマネージャー
大学在学中の2000年10月に公認会計士試験第二次試験合格、その後、中央青山監査法人にて監査業務に従事、2007年に太陽ASG有限責任監査法人に入所し、現在に至る。2008年より東京実務補習所運営委員会副委員長を務める。